会長挨拶
幼年保護会は、創設者有馬四郎助が明治39年に小田原の地に幼年保護会を創設したのが始まりです。
当時、刑務所長だった四郎助は、「人間は生まれながらに悪人はいない、子どものころからの生育環境こそが大事である」として私財を投じて施設を造りました。その理念は2代有馬純彦、3代有馬嗣郎、4代有馬和光、5代有馬恵子と続き、私は、平成28年4月から第6代目理事長に就任しました。法人の輝かしい業績と伝統を引き継ぐには荷が重すぎますが、関係各位と職員の皆さんの支えを得ながら微力を尽くすつもりです。
幼年保護会には、児童自立支援施設である横浜家庭学園(保土ヶ谷区)と、児童養護施設である横浜中里学園(青葉区)の2つの児童福祉施設があります。また、生活保護の施設である甲突寮(磯子区)があります。児童の施設は児童福祉法、成人を対象とする施設は社会福祉法に基づいて運営しております。
また、姉妹法人として、甲突寮に隣接する更生保護法人横浜力行舎があります。この施設は、更生保護法に基づく刑余者の社会復帰のための支援施設です。
令和元年4月からは横浜中里学園に児童家庭支援センター・みたけを設置して地域の子育て支援にも取り組んでおります。これらは、いずれも創設者の理想とそれに続く歴代理事長の経営理念を具現化した施設になります。少子高齢化社会にあって施設の経営環境は、利用者の寄り添うことは無論のこと、先を見据えた利用者の自立支援が課題です。自立支援は口でいうのは簡単ですが、現実は様々な課題があり、決して容易ではありません。虐待等様々な理由で親と暮らせない児童達は、進学、就職、自立まで依然厳しい環境下に置かれております。
成人施設である甲突寮、横浜力行舎の利用者にとっても、家族関係が絶たれるなど、孤独と生きづらさを抱えた方々も多く入所しております。加えて高齢化や障碍、疾患を持つ入所者が目立ち、制度だけでは対応できない細かな支援が必要です。こうした利用者を現場で支える職員の待遇も、施設経営では欠かせません。横浜家庭学園は、より家庭的環境を与えるために職員は児童とともに家族舎で24時間ともに暮らしております。横浜中里学園でも近年の小規模化を導入してユニット単位の居室で暮らせるようにしております。成人の施設も夜間の対応業務が年々増えております。福祉は人なりと言いますが、まさに人材の質に左右されているといえます。
利用者と一緒に夢を持ち、夢を実現できるサービス提供を心掛けてまいりたいと思います。
皆様のご支援をいただけますようよろしくお願いします。
小山 修
有馬四郎助(1864~1934年)
鹿児島県出身、現在の網走刑務所の初代典獄(所長)を務め、はじめは鬼の典獄と言われるほど厳しい人物だった。その間、友人で教誨師の留岡幸助から洗礼を受け、以後は愛に満ちたクリスチャン典獄として受刑者から敬愛されるようになった。 巣鴨刑務所、横浜刑務所などの所長を歴任。
【参考:三吉明著.人物叢書 有馬四郎助,1967,吉川弘文堂】沿革
明治39年 | 国は神奈川県小田原に少年刑務所を設置して幼年犯罪者を収容し、特別な処遇をすることになった。当時この管理に当たってたのが、横浜刑務所典獄有馬四郎助である。彼は少年犯罪の原因の多くが、生育途上の境遇の結果であることを思い、これを救済する教育機関の必要性を痛感し、釈放者のために「幼年保護会」を設置し、初代会長となった。 |
---|---|
明治39年6月1日 | 神奈川県小田原に幼年保護会矢津力行舎及び小田原家庭学園を設立する。 |
明治40年10月 | 横浜市根岸町で少年少女釈放者の保護を開始する。 |
明治42年4月 | 本会を、感化部、保護部に分け、横浜市根岸町に女子感化部を設立し、根岸家庭学園、同じく男子保護部を設け根岸力行舎とする。 |
明治43年8月 | 財団法人の許可をうけて、既定の役員を定める。 |
大正3年9月 | 保土ヶ谷帷子町に移転、大正4年4月1日より横浜家庭学園に改める。 |
大正12年 | 少年法施行により、横浜家庭学園は司法省認可少年保護団体に指定される。 |
昭和9年 | 少年教護法施行により、神奈川県、東京都の女子認可少年教護院となる。 |
昭和23年 | 児童福祉法施行による教護院として、東京都、神奈川県より横浜家庭学園認可される。 |
昭和25年11月24日 | 横浜力行舎認可 |
昭和27年5月17日 | 社会福祉事業法により、財団法人から社会福祉法人に改組し認可される。 |
昭和39年9月1日 | 更生施設甲突寮認可、開設 |
昭和59年4月1日 | 横浜家庭学園、昭和58、59年度で施設を整備する。定員50名となる。(旧定員60名) |
平成10年4月1日 | 児童福祉法改正により、「児童自立支援施設」となる。 |
平成29年4月1日 | 横浜中里学園開設 |
平成30年9月1日 | 甲突寮通所訪問事業開始 |
平成31年4月1日 | 児童家庭支援センターみたけ開設 |
令和2年11月1日 | 指定障害福祉サービス事業所 グループホーム ふぁん開設 |
令和3年5月1日 | よこはま包摂相談支援センター開設 |
施設の紹介
横浜家庭学園 | 児童福祉法による児童自立支援施設 https://www.yokohamakateigakuen.org/ |
---|---|
よこはま包摂相談支援センター | 計画相談支援(指定特定相談支援事業) https://www.yokohamahousetsu.com/ |
横浜中里学園 | 児童福祉法に基づく児童養護施設 http://www.ynakazato.jp/ |
児童家庭支援センターみたけ | 児童福祉法に基づく子育て支援施設(横浜中里学園内併設) http://ymitake.ynakazato.jp/ |
甲突寮 | 生活保護法に基づく更生施設 https://www.koutsukiryo.com/ |
グループホーム ふぁん | 指定障害福祉サービス事業所 |
若葉診療所 | 小児科 内科診療(予約制) 電話:045(331)5884 |